毎日の元気が一番。

腰痛館の佐藤です。

「最近、眠れなくて…」「夜中に何度も目が覚める」

この仕事をしていると、来られている方との結構なあるある会話です。

今回は睡眠と痛みの関係性をお話したいと思います。

イメージ

——「眠りと痛み」は、思っている以上に関係しています

では、眠りと痛みがどう関係しているのか、少しだけ脳の働きから見てみましょう。

睡眠が不足すると、脳の中で「痛みを抑えるブレーキ」が弱まり、逆に「痛みを感じやすくなるスイッチ」が入りやすくなります。

研究レビューで、
健康な人を対象にした実験で、一晩の睡眠不足で痛みの閾値が下がることが確認されています(Kundermannら, 2004)。

また“睡眠不足は痛覚過敏(痛みを感じやすくなる状態)を引き起こす”ことが繰り返し報告されています(Finanら, 2013)。

つまり、
「よく眠れない → 痛みが強く感じられる」という流れは、決して気のせいではないのです。

そして、最近の研究では、睡眠不足が痛みを強く感じさせる理由が、脳の働きからも明らかになってきています。

Krause ら(2019)の研究では、
一晩の睡眠不足だけで、脳が“痛みを増幅しやすい状態”に変化することが示されました。

具体的には、

  • 痛みを受け取る脳(一次体性感覚野)が過敏になる
    → 同じ刺激でも「痛い」と感じやすくなる
  • 痛みを調整する脳(線条体・島皮質)の働きが弱まる
    → 本来なら痛みを和らげるはずの仕組みがうまく働かない

つまり、
「痛みを強く感じる」+「痛みを抑えられない」
という二重の状態が、睡眠不足で起こってしまうのです。

さらにこの研究では、
日常生活レベルの“少しの睡眠の質の変化”でも、翌日の痛みが変わる
ことが確認されています。

  • よく眠れた日は、痛みが軽く感じられ
  • 眠りが浅い日は、痛みが強まりやすい

という、非常に現実的で身近な結果でした。

このことからも、
「痛みを和らげるために睡眠を整える」という視点は、医学的にもとても大切だと言えます。

ただ無理に完璧な睡眠を目指す必要はありません。できる範囲で、少しずつ整えていくことが大切です。眠りは“体の回復時間”です。どうかご自身の体をいたわってあげてください。

参考文献
・Kundermann B, et al. Sleep deprivation affects thermal pain thresholds in healthy subjects. Pain. 2004.
・Finan PH, Goodin BR, Smith MT. The association of sleep and pain: an update and a path forward. J Pain. 2013.
・Krause AJ, Prather AA, Wager TD, Lindquist MA, Walker MP. The Pain of Sleep Loss: A Brain Characterization in Humans. J Neurosci. 2019.